
この時期は「寒暖差疲労」という言葉をよく見かけます。朝晩と日中の気温差が7度以上あると、体温や血圧を調整する自律神経が疲れやすくなるそうです。だるさや肩こりだけでなく、イライラや気分の落ち込みにもつながると言われています。
「なんだか今日は気分が上がらないな」という日は、気持ちの問題ではなく、季節のせいかもしれません。
先日の朝、僕は名古屋で研修がありました。
車を止めて、15分ほど歩きます。秋晴れで気持ちのいい朝でした。もう半袖は限界だな、と思いながら歩いていました。
会場は、5年ほど前にも来たことがある場所です。そのとき見つけたおいしいおにぎり屋が、今もあるのかな。そんなことを考えていました。
ところがその途中、道端で自転車を止めてタバコを吸っているおじさんの副流煙を、思いっきり吸い込んでしまいました。
秋晴れの気持ちよさが、一瞬でしぼみました。気分は、ほぼどん底です。
たったそれだけのことです。それでも朝の気分は簡単に持っていかれます。
そのまま歩いていくと、おにぎり屋は、やっぱり今もやっていました。
店員さんは、ずいぶん若い女の子に代わっていました。でもおにぎりは、5年前と変わらずおいしそうです。ラインナップもしっかり揃っています。目についたものを2つ買いました。
プラスチックのケースに丁寧に入れてもらって、ビニール袋までサービスでつけてもらいました。相変わらずサービスがいいな、と思いました。
「お昼は、公園で食べよう」
そう思った瞬間、どん底だった気分が、ぐーっと晴れていきました。そのまま、気持ちよく研修へ向かえました。
あとから考えると、気分を戻してくれたのは、おにぎりそのものだけではありませんでした。
「お昼にこれを、あの公園で食べる」と決めたこと。昼に小さな楽しみが一つ入ったことで、気持ちが前を向きました。
気分が落ちるのは、自分ではどうにもならないことが多いです。副流煙は避けられませんでした。でも、戻し方は少し準備しておけます。
僕が今回、気づいたことは3つです。
1つ目は、落ちた理由を一言で言ってみることです。「煙でやられた」くらいで十分です。理由がわかると、「自分がダメだから」ではなく「ただ煙のせいだ」と切り分けられます。
2つ目は、小さな楽しみを、今日の予定に一つ入れることです。おにぎりを買う。コーヒーを飲む。公園のベンチに座る。大きなご褒美はいりません。僕の場合は「食べる場所まで決めた」ことで、気持ちが動きました。
3つ目は、自分の「戻れる場所」を持っておくことです。今回は、5年前の記憶を頼りに、あのおにぎり屋へ寄りました。偶然に近かったですが、「あそこに行けば、ちょっと元気になれる」という店が一つあるだけで、朝のしぼんだ気分は戻りやすくなります。
人にはお茶を出したり、ねぎらいの言葉をかけたりするのに、自分のことは後回しにしがちです。お客様をもてなすように、自分にも少し時間と気持ちを使ってあげる。機嫌を取るというのは、そのくらいの小さなことでいいのだと思います。
今日のアクションは一つだけです。
今日の昼か夕方に、自分のための小さな楽しみを一つ、先に決めてみてください。何を、どこで食べるか(飲むか)まで決めると、効果が出やすいです。
もし最近ずっと気分が重い日が続くようなら、季節のせいだと決めつけず、無理せず休んでください。
秋は、気分が揺れやすい季節です。揺れた日は、自分に「おつかれさま」と言って、小さな楽しみを一つ予定に入れてあげましょう。


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